野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

4月6日(金)

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 今日も家事に追われたものの、夜のレッスン終了後に新曲の骨子が組みあがった。

 それに安心したのか、映画「メンフィス・ベル」(1990)の動画を見つけて今まで観てしまった。公開された時、すぐに観に行こうと思ったのだが果たせず、それから22年も過ぎてしまったことになる。

 映画の主役となった戦略爆撃機B-17はB-29のさきがけとなった機体。日本本土爆撃に用いられたのはB-25とB-29。航空機にある程度くわしくないと単なる数字の違いのように思われてしまいそうだが、それぞれ全く異なる性格を持っている。

 B-17は米英両軍によって行われた「ドレスデン空爆」の時に米軍が用いた機体。ターボチャージドされたエンジンを持ち、高高度を飛行できた。もともとヨーロッパ戦線はB-17が主力だった。優れた防弾性と強力な防衛火力を持ち、帰還率が高かった。

 B-25は「ドゥーリットル空爆」として知られる最初の日本本土爆撃に用いられた機体。航続距離が短かったため(第2次世界大戦開戦時にはアメリカは長距離爆撃機を保有していなかった)、爆撃後に発進した空母まで帰投することができず、日本を通り越して中国までぎりぎりたどり着くというきわどい作戦だった。

 B-29は与圧されたキャビンを持つ、現代につながる爆撃機。ターボチャーチャーを持つ強力なレシプロエンジンのために、ジェット機なみの高空を飛行できた。そのため日本軍の高射砲も迎撃戦闘機もB-29を撃墜することが非常に困難だったと言われている。東京大空襲も、広島・長崎への核攻撃もこの機体。戦後、B-52にその座を明け渡すことになるまで米軍の主力爆撃機だった。

 こういうことを知るたびに、日本がアメリカに対して戦いを挑むのは無謀だったと改めて思ったものだった。そうではなくとも、戦争は始めなければ始まらないという面を持つ。「坂の上の雲」を観ても思ったことだが、もっともっと命を大切に考えなくては人類は幸福を手に入れることはできないだろう。