野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

7月11日(木)森田ピアノ工房訪問

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>昨深夜、ネット接続が不安定になったので12日午前に更新。

 

 10日深夜(11日未明)、帰宅した “たろ” と、新しく始まったアニメ「悪の華」(正確には “惡の花”)の原作マンガの話題で盛り上がっていた。

 アニメは全編ロトスコープ(要検索)という手法で制作されるもので、それが功を奏する場合とそうではない場合がある。

 我々二人の見解は、第1話を見た限りでは成功。しかし、原作を読み込んで来た人は、そもそもキャクターデザインの連続性が損なわれている点などで評価が分かれるところだろう。

 オーデュロン・ルドンの「悪の華(銅版画)」が重要なデザインとして登場する。ストーリーにボードレールの「悪の華」との直接の関連はないと感じられた。そもそも、高校時代に堀口大学あたりの訳で読んだ「悪の華」はさっぱり訳が分からなかったから、もしかしたら関連だってあるのかも知れない。

 そうこうするうちに3時を過ぎ、 “たろ” から「明日早いんでしょ。寝なきゃ駄目だよ」と諭される始末。いつもの時刻にならないと眠れないものだ。

 

 11日朝、もちろん寝不足で体調も気分もグダグダ。前もって用意しておいた録画機材をおさめたキャリーバッグをゴロゴロと転がしながら家を出た。

 おちゃめさん、ピアノギャラリーの中山宏一さんと一緒に東京駅8時20分発の「のぞみ209号」に乗り込む。

 新幹線とか飛行機とか(潜水艦ならハッチ閉鎖と同時に悶絶することだろう)は苦手だ。

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 朝食用に買っておいたサンドイッチも食べる気がしない。

 そんなこともあろうかと(まさか?)、おちゃめさんが「若甦」という生薬成分の栄養ドリンク(?)をお湯割りにして出してくれた。

 これがなんだか美味しくて、Ⅰ時間くらいで身体、特に指先がぽかぽかと温かくなってきて、お腹も減ってきた。

 京都までは2時間18分。江戸時代の旅人なら2里と少し進んだくらいだろうか。 

 新幹線は苦手ではあるけれど、嫌いではない。今日だって、N700Aに当たればラッキーだと思っていたくらいだ(残念ながら往路・復路ともにN700)。

 それにしても、新幹線というシステムは優れたインフラだと思う。TGVもICEも乗ったことはないけれど、輸送力の大きさと運行の安定性・確実性という点で、それらの高速鉄道と新幹線は別物だと思う。

 JR東海の緊張感ある運行体制のおかげで、乗客の気の緩みっぷりは見事だ。誰も何も心配しておらず、いま、どのような技術によって平らなレールの上をほぼ真円に研磨された車輪が、信じられないほど強力な力を発生する電動機とそれを制御する技術によって新幹線が動いているのか誰も気にしていない。

 

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京都駅を出発するのぞみ209号16号車。止まって見えるが、この時、すでにかなりの速度で走っている。

 

 京都からは、2月と同じように琵琶湖線で山科駅、そこから地下鉄東西線椥辻駅へ。後は歩いて2km。

 

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 途中、働く女性の守り神であるという折上神社にお参りして、その境内で昼食。京都のコンビニおむすびは味付け海苔だった(帰宅してカミさんに話したら、テレビの秘密の県民ショーという番組で知ったと話していた)。

 江戸っ子としては、おむすびの味付け海苔は「許せねえ」という感じだ(実は美味しかった)。

 

 正午過ぎ、誰もいない無人の工房に到着。すぐに歩さん(息子さん)、裕之さん(お父さん)、それから調律の中村さん(裕之さんの親友という感じの方)が現れ、裕之さんと中山さんは修復中のピアノの図面を見ながら技術談義。私とおちゃめさんは2階のピアノ展示室でブリュートナーと再会。

 どうしても欲しいけれど、現段階では資金計画が立たない。モリアキ翁の入院費用だっていくらかかるか分からない。

 調律の中村さんという方は「となりの人間国宝」というテレビ番組に取り上げられた人だそうで、写真もプロ、笙(しょう)の演奏家としても仕事をしていらっしゃるだけでなく、農業経営もしておられるというすごい方だった。彼の撮影した天体写真も見せていただいた。ほかにもまだいろいろな技術をお餅なのだけれど、私はピアノに張り付いていたので彼の全貌は、後日彼のご自宅を訪問させていただく機会があった時に分かることだろう。しかし、裕之さんは、彼の調律が一番好きだと言っておられた。パーフェクトなイコールだそうだ(調律後に機械で計測して分かる)。

 能力の高い人は何をやっても高いレベルということは、しばしば経験することだ。

 

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チェンバロの奥、2台のブリュートナーの手前が1888年製。

 

 午後2時頃だったか、2月にもお会いした松岡さんと、そのお連れの方が工房到着。

 少しだけ、森田ピアノの魅力を紹介させていただいた。いつか、大阪に呼んでいただく機会があるかも知れない。大阪にも森田ピアノとウラノメトリアを広めたいものだ。

 

 今回は、おちゃめさんとウラノメトリアの連弾曲を録音・録画して森田ピアノを紹介すること。

 というわけで、歩さんの協力を得て録音に励んだ。どの曲もテイク2まで撮る予定だったが、テイク1で済んだり、テイク5まで撮らなければならないものもあって、結局、なるようになった。

 なるべく早く動画をアップしたいと思っているが、昨日、作業しようと思ったら、やり方をすっかり忘れていて、思い出すのに時間がかかりそうな予感。

 まあ、がんばります。

 

 夜8時からレッスンがあったので、後ろ髪を引かれる思いで4時半頃に工房を後にした。

 復路は、のぞみ280号。往路の新幹線で飲んだ「若甦」が効いているのか、寝不足であることを忘れるほど体調が良い。あっという間に東京駅。

 

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 レッスンには数分の遅刻。ごめんね、メイちゃん。

 

 では、今から夕方のレッスン開始まで、モリアキ翁の病室に詰めるので、12日の定期便更新は夜に。