野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

10月15日(水)晩秋のような一日

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 天文学の世界では、20世紀は巨大反射望遠鏡の時代だった。

 史上最大の屈折望遠鏡は19世紀末(1893年完成)のヤーキス天文台の口径102cmのもので、現在でも運用されているが、これを超えるものを作る計画はない。

 20世紀は反射望遠鏡の時代で、ウィルソン山天文台の250cmフッカー望遠鏡(1917年ファーストライト)がその嚆矢である。つづいてパロマ天文台200インチ(508cm)ヘール望遠鏡(1948年ファーストライト)が巨大望遠鏡の時代を開き、観測天文学は長足の進歩を遂げた。小学校6年の時、お年玉を全額つぎ込んで上記2台の望遠鏡による天体写真集を買って、飽かずに眺めたことは強烈な印象として記憶に残っている。

 その後1975年頃に旧ソビエトがゼレンスカヤというところに6mの巨大望遠鏡を建設したものの、なぜか1枚の画像も漏れ伝わってくることはなかった。今では失敗作だったということになっているけれど、逆に先進的な望遠鏡だったという説もある。

 20世紀の掉尾を飾るのはマウナケア山頂の巨大望遠鏡群とハッブル宇宙望遠鏡だろう。これとは別に電波望遠鏡の大型化と精密化も進んだ。

 ここで今日のニュース。

 20世紀からずっと計画されていた超巨大望遠鏡、現在では30m望遠鏡(TMT)と呼ばれる望遠鏡の起工式が今月8日(JST)にマウナケアで行われたとのこと。口径30mともなると、その分解能(解像力)は0.008″角(すばる望遠鏡は0.03″角)にもなり、恒星の円盤画像が撮影できるほどの能力になる。

 長い間、恒星の円盤画像を観測することは不可能と思われてきたけれど、スペックル干渉法によって1970年代にはベテルギウスの画像撮影に成功している。すばる望遠鏡も撮影に成功しているものの、高い解像力で撮影できる能力を手に入れるのはTMTが初めて。

 TMTはアルマ望遠鏡(ミリ波サブミリ波干渉計)と同じく国際プロジェクトで、日本が建設費の25%を負担する。

 現在アメリカが建設中の21mマゼラン望遠鏡を含めて、21世紀の天文学を大きく前進させることになるだろう。ちなみにマゼラン望遠鏡は、現在計画中(計画頓挫中か?)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)と合わせて干渉計としての運用を目指している。もし実現すれば、JWSTラグランジュポイントL2で運用されるため、基線長150万kmという超・超巨大望遠鏡としての分解能を得ることになる。

 

 

 昨日が遠い季節に思えるほど、かけ離れた天気と気温。以下の画像に説明は必要ないだろう。

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