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熱中症の症状のひとつに「脱塩」があるのだけれど、これを正しく理解するのは意外にも難しいのです。
テレビやラジオのニュースや気象情報でも「暑い日には水分を充分に摂って」という呼びかけをしているが、これが落とし穴だったりします(水分不足による熱中症には水分補給も有効です)。
更には、スポーツドリンクを飲んでいれば安心という、非常に信ぴょう性の高そうな「迷信」が脱塩に拍車をかけている可能性さえあります。
私の趣味は「笹目川」と「荒川」ではあるけれど、栄養学と生命化学(生命科学の一分野)も、ちょっと趣味なので、簡単に説明してみます(私の妄想も入っているかも知れないので、鵜呑みせず、ご自分でも調べてみてください)。
一般的な栄養学では、食塩換算で一日あたりの所要量としてWHOが推奨する5g以下、あるいは2015年に改定された日本の厚生労働省が推奨する男性8g未満、女性7g未満などというように示されます(栄養学では、ナトリウム量で考えますが、実際に手に取ることのできる食塩換算のほうが現実的だからです)。これを超える塩分を摂ると身体に悪いという「心の基準」のようなものが人々の間に出来上がっているかも知れません。
スポーツ栄養学では、運動強度と環境温度が加味されて一人ひとりに最適な食塩摂取量が示されます。
生命化学では体液の浸透圧のホメオスタシスとして示されます。難しそうな言い回しですが、これが一番分かりやすかったりします。
たとえば、人の体温は、ほぼ一定に保たれています。これを体温の恒常性、またはホメオスタシスといいます。その言葉には、体温を保とうとする仕組みや傾向も含まれています。
ホメオスタシスは、体液の浸透圧についても当てはまります。生理食塩水というのは、まさに、人の体液の浸透圧と等しい食塩水を指します。つまり、食塩だけでヒトの体液と同じ浸透圧を持たせた液体です。
汗をかくと塩分が失われていきます。日本では多くの人が塩分を貯めこんでいるので、少しくらい塩分を失っても大丈夫です。しかし、真夏にスポーツなどをして大量の汗で塩分を失うと体液の塩分濃度を維持するために、塩分の少ない汗を大量にかいて水分を排出し、浸透圧を保とうとします。
こうなった時に私達を助けてくれるのが「経口補水液」と言われるもので、生理食塩水よりは塩分濃度が低いものの、充分な浸透圧の液体です。これを脱塩の心配がない時に飲むのは高血圧の人などには良くありません(水分補給にはならず、逆に喉が乾いたりします)。
経口補水液は体液の浸透圧を上げて、再び身体の保水力を増してくれます。ここまでは御理解いただけたでしょうか。
さて、スポーツドリンクの塩分濃度は生理食塩水よりも低く設定されています(だいたい1/3程度)。身体に余分な塩分を溜め込んでいる状態ならば、熱中症予防に充分役立つスポーツドリンクですが、脱塩してしまってから飲むと逆効果になります。ヒトのホメオスタシスは、薄まってしまったNa濃度を上げるために、水分の排出を続けてしまうからです。これがNa欠乏性脱水。対して、水分が失われることによって起こる脱水が水分欠乏性脱水で、対処は逆になります。初期ならば、スポーツドリンクは両方に効きます。
脱塩は、実際に体験すると、それがどのようなものか良く分かります。
去年、私は37.5度Cの気温の中、荒川CR60kmをTN号で走って脱塩を体験しました。サラサラの汗がたっぷり出てきて、息が熱くなり、だるくなってきます。そしてたちまち両脚が攣(つ)って走れなくなりました。
日陰(橋の下)に入って、念の為に携行していた経口補水液300mlとミネラルタブレット(主にカルシウムとマグネシウム)を飲むと、10分ほどで症状が収まってくるのが分かりました。
今では、初期症状のうちに脱塩に気付くくらいベテランになってきています。私は暑い時には、ただの水(純水)が一番美味しいので、ハイドレーションボトルには凍結させた純水を入れています。その代わり、背中のバッグには経口補水液や塩飴、それから、こういう時だけ好きになる塩せんべいが入っています。
脱塩に限らず、熱中症では、症状に応じた早め早めの対策が重要です。
今日の彩湖は、藻類が繁殖している緑色。
今日はオーバーホールを終えたTN号のテストラン。シフトレバーもブレーキも新車の時のように軽くなっている。
ジャンピングシーソーとでも呼べばよいのか、そのような遊具で遊ぶ子どもたち。
ここからはBW号。
午後遅い谷口公園。まるで夏休みの終わりの頃のよう。
午後5時を過ぎても、まだ33.4度。
E5系(ひょっとしたらH5系)が笹目川を渡る。
午後から快晴
ファンタすいか(塩入り)。ラベルを剥がして撮影。入っている食塩は460mg。生理食塩水ならば、500mlあたり食塩4500mgが含まれているので、脱塩時は役にたたないレベルです。でも、飲むとスイカ味で面白い感覚でした。もう買うことはないだろうけど。