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バルトークはワルトシュタインソナタの独創性に夢中になったあまり、自分自身のピアノ・ソナタが、ワルトシュタインソナタと瓜二つになってしまったことにも気づかなかった(に違いない)。もし、この2曲の類似性に気づいていない方がおられるならば、第3楽章どうしを聴き比べてみれば分かりやすいかも知れない(本当の類似性は第1楽章にある)。
バルトークの弦楽四重奏曲第1番とベートーヴェンの弦楽四重奏曲嬰ハ短調の冒頭部分は、初めて聴く人なら区別がつかないかも知れない(2度目には、まるで違う曲に聴こえるとしても)。
ショパンの幻想即興曲と月光ソナタ第3楽章の共通フレーズは良く知られているが、バラード第1番と熱情ソナタ第3楽章はどうだろうか?
バルトークもショパンもベートーヴェンの真似をしたわけでも、引用したわけでも、無論、盗作したわけでもない。
にも関わらず、作品にはベートーヴェンが溢れている。しかも、それらはとてもバルトーク的であり、とてもショパン的だ。彼らのベートーヴェンに対するリスペクトが、そうさせたのだろう。だから、そういう作品が大好きでたまらない。