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NHK-FMのN響定期公演の中継番組で「ツァラトゥストラはこう語った」をスコアを読みながら聴いた。そのスコアの精緻なことにあらためて驚く。
様式的にはロマン派の生き残りという感じだが、調性が弱く感じられるほど自由な部分もあって、彼は決して時代遅れの作曲家ではない。
注目すべきは、そのオーケストレーション。弦が細く分かれて多声化して繊細さを増すあたりは息を呑むほどだ。
冒頭の有名な3音の部分動機がバッハのように拡大・縮小され、全体を通して登場する。構造的にも隙のない音楽作りがなされていて、少し真面目に取り組んでみようかという気になってきた。
ゲストの野平一郎さんのコメントに「とっても」などの言葉がくり返し出てきて、ちょっと微笑ましかった。
話題は変わって、堅物としか思えないヒンデミットが、実はユーモアたっぷりな一面があることが分かった。
それは下にリンクした曲。
・朝7時に湯治場で二流のオーケストラによって初見で演奏された「さまよえるオランダ人」序曲
長い曲名だ。曲の面白さも相当なものだ。どうして今まで知らなかったのだろうかと不思議な感じ。
>今日の試聴音源アップロード
・1α-35_木陰で (プリモのみの独奏)