野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

7月27日(金)

270399

 

 1日の速さに毎日驚くばかり。

 毎日のことなのだから驚かなくなるだろうと思ったら大間違い。きっと明日も驚くことになるのだろう。

 

 今週はジョン・ケージにハマっていた。古くて新しい作曲家だ。4分33秒ばかりがクローズアップされてしまい、ケージの実像を分かりにくくしている感があるが、彼の世界は膨大だ。彼の最高傑作をひとつ上げるというのは難題だが、Credo in Us(1942)は候補のひとつかも知れない。

 演奏は多くのバージョンが存在するのだけれど、EMI Classicsから出ているRainer Riehn: Ensemble Musica Negativaの演奏によるものが素晴らしい。

 Youtube上にも本当にたくさんの演奏があるのだけれど、どれもスラップスティックさとシリアスさのバランスがいまいちだ(正確に書くと、聴く気がしない)。

 初めて聴いた時には、思わず笑ってしまう音楽だった。むしろ2度目も3度目こそ笑ってしまった。誰もいない部屋で一人で腹の底から大笑いする体験は近年ないものだった。どんなジョークもこんなに屈託なく人を笑わせることはできないだろう。しかし、聴きこむうちに素晴らしい音楽であると思えてきた。今では笑うどころではない。とてもシリアスな曲として聴いている。

 聴いてみたくなった人はアマゾンで手に入れるしかない(ちなみに下のリンクはアフェリエイトではない)。

 Cage: Credo in Us/Imaginary La [CD, Import, From US]

 

 この演奏は、バックにドヴォルザーク交響曲第9番第4楽章が使われているが、Youtube上にはベートーヴェンの交響曲第5番第1楽章のものや、第4番第1楽章、グリーグのピアノ協奏曲、はたまたポピュラーミュージックを使ったものもある。しかし、ドヴォルザーク盤が圧倒的なのだ。

 

 マルタンの「小協奏交響曲」には早い時期に出会ってしまったので、あの曲が彼の最高傑作であることを確信するまでには、他の曲をたくさん聴かなければならず、時間がかかった。

 スティーヴ・ライヒの「テヒリム」は、初めて聴いた時に並外れた傑作であることを直感した。

 しばしば作曲家が没後に人々に知られるようになるのは、聴衆が遅れをとっているからだ。遅れたくない。音楽は全身全霊を傾けて持てる全ての力で聴くものだ。

 

>今日の気持玉

・4β_インテルメッツォ <ガッツ>1

・4β_しゃぼんだま <ガッツ>1

・番外_あそび歌 <ガッツ>1

 

昨日(2012年7月6日夕刻の南方向)

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同じく西空

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ホワイトバランスの関係で発色が異なるのだけれど、しばらくの間、風景がサーモンピンクに染まった。