野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

1月5日(土)

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 今日は最高気温が5度にも至らない寒い日だった。

 いろいろなことがあったのだが、夜10時からのTV番組「美の巨人たち」を観たら、それら全てがどうでも良くなってしまった。

 今夜の絵画は葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」。

 北斎が仕掛けた幾何学的なマジックを解き明かしていく。まるでウェーベルンバルトークの作品をアナリーゼしていくかのような面白さだ。

 北斎に波のイメージやアイディアを与えたのが、「波の伊八」と呼ばれる宮彫師。千葉県いすみ市の行元寺の欄間に北斎が見て影響を受けた可能性のある波の彫刻がある。もし、そのとおりだとしたら、その波がドビュッシーの心をも動かしたことになる。その波は事実であり、インスピレーションでもあった。

 そう言えば、昨日クルマのなかで聴いた学生音楽コンクールのヴァイオリン部門。たしか奈良県の中学2年生だったと思うが、バルトークの第2コンチェルトをインスピレーションたっぷりに演奏していたので聴き入ってしまった。

 インスピレーションのない音楽は、単なる音の羅列にすぎないことがある。そして、これは全ての芸術に言えることだろう。実はインスピレーションは連鎖するのかも知れない。

 渋谷の神宮前にある太田記念美術館で神奈川沖浪裏が1月27日まで展示されている。もし、私に北斎のインスピレーションが連鎖する可能性があると考えると、見に行きたくなってしまうではないか。

 

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午後遅く、わずかに日差しが戻った。

 

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今日の出発画像。