野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

3月22日(金)京都行き その2

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 無事、森田ピアノ工房に到着。

 工房1階の作業場ではアメリカのKnabe社製の修復作業が始まったばかりのようだった。

 お父様の裕之さんから、早速そのピアノの技術的な問題点を教えていただく。非常に困難な修復になることが素人の私にも分かった。

 過去に不適切な修復が行われたピアノで、森田工房全力の仕事となることだろう。

 

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knabeの大屋根のローズウッド木目の拡大(まだ磨かれていない)。現在ではこのような木は非常に稀少であるとのこと。

 

 そして2階の修復を終えたピアノの部屋へ。

 

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 これが1888年製のブリュートナー。左奥に見えるピアノは1900年代に入ってからの同じモデル。同じモデルなのに、奥のピアノはモダンピアノの味付けで、おそらくレパートリーはオールマイティ。どちらも素晴らしいけれど、私は1888年モデルに一目惚れ(逆の人も少なくないと思う)。

 それからは、ずっと夢心地のまま弾かせていただいた。

 ブリュートナーは、高音部の4本弦(1本は共鳴弦)で知られているが、この時代にすでに4本であったことは知らなかった。

 

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彼女の素敵な御み足

 

 本当は隠居後に備えてアップライトピアノを1台欲しいと考えていたのだけれど、このピアノに出会ってしまったらアップでもフラットでもどちらでも良くなってしまった。ちょっと場所を多くとるだけで、このブリュートナーは騒ぎ立てたりしない。

 これで、後は交響曲の注文を待つばかりだ(???)。

 

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 この日は、私のほかに兵庫から、ピアノを勉強中の若いお嬢さんもブリュートナーを弾くためにお見えになっていた。

 途中から、彼女にロールンクやシュッテルンクについて色々と質問されて(検索しても、なかなか出てこないということだった)、答えられる範囲内でお答えした。

 

 もっと早くお暇する予定だったのに、ピアノから離れられなくて、歩(あゆむ)さんに京都駅に送っていただいたのは日没頃になってしまった。

 

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塗装中の京都タワー。まるでろうそくのよう。

 

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東京駅に到着した「のぞみ42号」。20時30分には岡山行最終列車「のぞみ129号」として再び旅立つ。

 

 さて、買い手が現れる前に金策に走らねば(借金はしない)。