野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

6月12日(水)

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 台風第3号(ヤギ)は伊豆諸島付近で停滞、まもなく温帯低気圧に変わるという予報(訂正:実際は熱帯低気圧に)。

 今日は涼しくて梅雨らしい一日だと思ったら、新潟県高田観測点35.9度、岡山県高梁観測点35.6度、兵庫県豊岡観測点35.1度など猛暑日となったところもあったことを知って驚いた。

 フランシス・ベーコンのイドラで言うと「洞窟のイドラ」にずっぽりとハマってしまったことになる。

 

 Three Dances III は原曲スコアに5番フルートのパートを加えたオリジナルの形で決定稿とした。今後、素晴らしいアイディアが浮かべば再改訂の可能性はあるものの、今回かなり考えぬいた末の結論なので、そう簡単には覆らないのではないだろうか。第1曲と第2曲は未完成な感じがしたけれど、第3曲は完成していたということになる。

 今後、リハーサルで新しい表現を試みることが重要になるだろう。

 

 かなり前に録画しておいた映画「ラヴェンダーの咲く庭で(2004年イギリス)」を観た。

 主役はお婆さん(失礼)2人。演じているのはジュディ・デンチ(1936年生まれ)とマギー・スミス(1934年生まれ)。名前を言っても分かりにくいが、007(ダブルオーセヴンと読まなければならない)シリーズのMI6(こちらはエムアイシックス)でジェームズ・ボンドの上司である “M”と、ハリー・ポッターシリーズのホグワーツ魔法学校の副校長ミネルバ・マクゴナガルと書けば、分かる人も多いことだろう(これもイドラだろうか)。

 この2人の老後の生活に記憶喪失のヴァイオリニストの青年が関わってくるという物語なのだけれど、2人のお婆さんがとても素敵で、すっかりやられてしまった(こういうお爺さんになりたいものだ)。

 この年齢になると、美人かどうかは、それほど大きな問題ではない。誰もが容姿などという狭量なハンディキャップなしで勝負できるようになる(勝負の必要もないけれど)。

 それまでの生き方の集大成、あるいは成績表が老後なのだと思う。まさに大隠居。

 

 大隠居について、過去ログを読んでいない人のために簡単に書くと、次のようになる。

 人は60年も生きれば、いろいろなことを知るに違いない。その頃には何か面白いことはないかとあちらこちらをウロウロしたり、美味しい店はないかと食べ歩いたりするような愚行はしない。

 心地良い自分の居場所を確保していれば不満もないし、行きつけの美味しい店なら失敗はない。

 ホッとできるお気に入りの部屋で、お気に入りの窓の外を眺めながら、おいしいお茶を飲む。身の回りあるものは、高価でも高級でもないにも関わらず、長年の経験で選び抜いてきた優れものばかり。

 旅行に行くのは、自分の居場所の素晴らしさを再確認するためだし、映画や演劇、コンサートも外れなどないくらいの選択眼を培っている。

 それが大隠居。人生に、これ以上の贅沢があるだろうか。

 60歳以前というのは、全て素晴らしい老後のためにある。

 

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今日の夕景。

 

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シャッター速度が遅くて、少しブレてしまった。

 

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花びらが少し傷んできているが、写真では目立たない。