野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

6月23日(日)

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 またまた遅い時刻になってしまった。

 いま日記を書いているということは、明るくなってから眠るということ決定になったようなものだ。

 6月24日は58歳の誕生日。

 50歳になった時、つまり、2005年に「60歳までに主要作品を書き上げる」という目標を立てたのだが、まるで実現していない。

 今日の「ブラボー!オーケストラ」で放送されたハンス・ロットは26歳で早世していながら、彼の力を知ることのできる作品を遺している。正直に書くと、彼の交響曲第1番が人々を虜にするかどうかと言えば、一部の人にとどまるだろう。それでも26歳という年齢を考えると大変な力の持ち主だ。

 作曲家は同時代の聴衆だけでなく、未来の聴衆こそ重要な顧客なので(当然、これから生まれてくる天才作曲家たちがライバル)、生半可なことでは音楽史に名を刻むことは難しい。

 中1の時にドビュッシーの「喜びの島」を聴いた時、何も知らない私は初演当時の聴衆と同じ耳で聴かざるを得ず、非常に貴重な体験をした。それは熱病に侵されて蒙昧とした意識で幻聴を聴いているようなもので、極端に言えば「心的外傷」となったかもしれない事件だった。ドビュッシーとの出会いは、バルトークへの理解を容易にしたに違いない。

 ハンス・ロットの交響曲第1番は、初演当時の耳で聴くことができなかった。それはおそらく彼がブルックナーマーラーに傾倒し、影響が大きかったせいかもしれない。

 彼が長生きしたら、音楽史の一部は必ず書き換えられていたに違いない。

 

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夕方のノゲシ

 

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f:id:tomlin:20130623171711j:plainまった

まったくおなじ条件で撮影した紫陽花。上が先に開花したもので、下は開花して間もない。