野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

8月2日(土)ニュウニュウ・ピアノ・リサイタル 2014(サントリーホール)

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 埼京線遅延で、いきなり出鼻をくじかれる。

 

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12時15分発の列車、未だ入線せず。ホームの気温34.5度。これはコルグの携帯メトロノーム

 

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暑さのせいか、ACR(荒川サイクリングロード)右岸はガラガラ。

 

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南北線車内。開場まであと13分。今日は昼食抜きか?

 

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六本木一丁目駅で地上に出る。暑い。

 

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ようやくカラヤン広場に到着。

 

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開場後、間もないサントリーホール

 

 ニュウニュウと聞いて思い浮かぶのは「話題」だろうか、それとも早熟の天才だろうか、あるいは見世物?

 プロモーターによる牛牛12歳の時の宣伝は、17歳となった今の彼にはマイナスに働いたかも知れない。

 今日の演奏は、言葉で表現できないほど思慮深く、美しく、そして夢を見ているようだった。

 ステージに現れた時、その姿で彼がすでに青年であることが分かった。

 最初に弾いたショパンの2曲のノクターンで、いきなりノックアウトされた。

 そうだ、今までずっと待っていたのはこういう演奏だったのではないか、それがやっと目の前で実現したと思った。

 続く「ワルトシュタイン」は、ピアニッシモのような音色のフォルテが光る、独創的でありながら成熟した解釈による「発見」とも言える演奏。かつて、これほど魅力的なベートーヴェンを演奏したピアニストがいただろうか。

 精密で軽やかで、しかも輝くような音色。自在なアゴーギクデュナーミク。曲の構造を良く把握した解釈。

 予想を大きく上回る牛牛の成長ぶりに、息をするのも忘れそうだった。

 休憩を挟んでメンデルスゾーンの無言歌を3曲。

 正直に言って、前半のプログラムに感動していながらも、無言歌には期待していなかった。

 ところが、私の想像の到底及ばぬメンデルスゾーンが目の前に現れた。メンデルスゾーンには、こういう可能性があったのかと教えられる演奏。彼の演奏で無言歌全曲を聴きたいくらいだ。

 そして「展覧会の絵」。全てが新しく、美しく、詩に満ちた演奏。ピアノを取り替えながら弾いているのではないと思うほど音色を使い分け、ムソルグスキーがどれほど偉大であるかを示すかのような演奏の組み立て。もっとずっと聴いていたいような天国的な気分だった。

 満員にはなっていないホールの聴衆が、満員以上の拍手。

 アンコールも全曲すばらしかった。

 展覧会の絵でもそうであったように、カンパネラでは信じがたいほどのテクニックと音色センスに支えられたトレモロに興奮。

 彼は間違いなくピアノ史に残る名ピアニストとなるだろう。

 今日は、私の想像の及ぶ範囲を大きく超えるほどの牛牛の成長を目の当たりにした演奏会だった。

 

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北戸田駅に到着。今夜は戸田橋花火大会。私はモリアキ翁95歳と2人で晩餐を楽しんだ。