野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

3月23日(土)モン・プティ・プサン・コンサート

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 今日の午後は、さいたま芸術劇場で開かれた「モン・プティ・プサン・コンサート」へ。

 坂本景子先生の門下生の発表会ではあるのだけれど、すでに発表会の域を超えた魅力あふれるコンサートだった。

 コンサート終了後に作曲工房関係の皆さんとコーヒー&スウィーツ(やや、コーヒー&セロリ?)タイムを持ったのだが、話は、そこから始めたほうがよさそうだ。

 R先生の次の一言がコンサートの魅力の半分を物語っている。

「1曲目からノックアウトされました」

 その演奏者は小学校1年生だ。

 そして坂本景子さんの終わりの挨拶が、残りの半分を雄弁に語っていた。

「今日のプログラムは、全て私の大好きな曲ばかりです」

 

 私はセロリをボリボリと齧りながら(セロリを齧っていたのは私だけではないことも書き添えておこう)、私の曲とマ・メール・ロワなど、ほんの数曲しか知っている曲がなかったにも関わらず、1曲のこらず名曲(名曲を感じさせるのが半分は演奏にあることも知っているつもり)だったことに感嘆していた。

 コンサート終了後に、どのように楽譜を探したのかという話もうかがった。20年間も執念で探し続けた経緯(作曲者の国の大使館にまで探りを入れたなど)を聞くと、誰もができることではなさそうだったが、その努力は今日、会場に居合わせた全員に伝わったことだろう。

 彼女を講師に招いて、レパートリー発掘に関するレクチャー・コンサートを開けば、日本のピアノ教室の発表会が変わるかも知れない。こんなに素敵な曲が人知れず眠っているのだから。

 レッスンや発表会で使う曲は、それを弾くことによって、ピアノ曲がピアニスティックであることの大切さに気づいたり、作曲者のオリジナリティに気づいたり、あるいは、作曲者とインスピレーションを共有することができる(作曲者の気づいていた美しさに気づける)ような曲が望ましい。つまり、作曲家とピアノと演奏者の魅力が全て発揮できる曲ということだ。 

 今日の選曲は、それを満たしていたと思う。

 

 今日は、もうひとつ良いことがあった。Tさんがウラノメトリアの曲名候補を持ってきてくださったことだ。

 セロリタイムに、とても気に入ったタイトルを言うと、すぐに「もう聴きたくなりました」という声が。

 良いタイトルというのは、そういうものだ。そして、良いタイトルはインスピレーションをも運んでくる。

 

 あ、遅くなってしまった。4時までには眠らないと、明日(すでに今日だし、もうすぐ朝だ)は午前中からレッスンだ。

 では、お休みなさい。

 

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埼京線各駅のホームには、このような緊急時の列車停止ボタンが20ヶ所に設置されている。もちろん、他の路線でも列車の編成に合わせた数が用意されている。イメージトレーニングしておかないと必要な時に押せない。そもそも、このボタンの存在に気づいていない人も少なくないこどだろう。