野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

5月30日(水)

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 5月も間もなく終わる。ウラノメトリア1βは、まだ完成の見通しが立たない。4βのほうが早いかも知れない。

 今日は、白鍵だけのメロディーに12音のセリーで伴奏付をするという試みにかなりの時間を費やしてしまった。

 作り方は簡単で、プリモがCを弾いている時ならば、Cを含むたくさんの和音(本当にたくさんある)から音を選ぶ、D以降も同様に繰り返していくと、あっという間に12の音が揃う。しかし、問題はここからだ。

 本当に美しい音楽でないかぎり、それはただのゴミにすぎないばかりか、そもそも音楽は試行錯誤では作れない。必然だけが美を生む。

 名曲は、“強い”メロディーを持っているけれども、何が強いメロディーを構成している要素なのかは言葉では伝えらない。全然難しいことでもなんでもないのにだ。

 たとえば、甘さを知らない人に甘さを説明しても意味がない。砂糖や蜂蜜、あるいは酸味のない甘さだけの果物を食べさせて、共通する味覚がそうだと伝えればすぐに分かることだろう。

 日本語が全くわからない人に音(おん)だけを伝えて、ひらがなの「さ」の字を探すように頼んでも無理なのと似ている。

 音楽で言えばペリオーデのようなものだ。内田光子さんのような優れたピアニストは厳格に守って弾いているのに、ペオリオーデを知らないと、それがどのような要素を指すのか分からないので聴こえない。それを知っている人からレッスンを受ければ、簡単に理解できるが、独学ではたどり着けないことが多いことだろう(事実上不可能か?)。

 土肥先生は、説明は難解であったけれども、とにかく最後の頃には「強いメロディー」の話になった。強いメロディーとはアクの強いメロディーではなく、たくさんの曲を聴いても他の曲のなかに埋没することのないものを指す。

 そう言えば、ウラノメトリア全曲・簡単アクセスのエントリーが260となった。「スピカ」はいつの間にアクセス数で単独12位という高い人気を誇っている。これはもう、書き上げるしかないだろう。

 独奏ピアノと連弾ピアノによる6人のピアニストと2台のピアノという構成で演奏されることになるだろう。連弾はピアノと弾き手が2人いればすぐに成立するけれど、2台ピアノ環境は非常に少ない。2台ピアノでレッスンを受けるという幸運な人は100人に一人くらいかも知れない(感覚値)。「全短調アルペジオ」は連弾不可能なので、やむなく2台ピアノとなったが、演奏機会は非常に少ないことだろう。

 

今日の試聴音源更新

新規追加

3β-21 雨の土曜日

4α_なんてことないさ

4β_しゃぼんだま

4β_風のように

 

第3巻、第4巻4曲並ぶと壮観。今日は「しゃぼんだま」の36年越しの改訂が終わって。とてもよい気持ちだ。

 

今日の気持玉

1α-41_5つの音で / 速い8分音符 <ナイス>1

3β-6_いいことありそう <ナイス>1

3β-7_オレンジ畑のエチュード2 <ナイス>1

3β-21_雨の土曜日 <ナイス>1

3β-34_忘れられた歌 <ナイス>1

4β_しゃぼんだま <驚いた>2

 

 では、また明日。

 Good night!