野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

8月5日(土)

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 今日は戸田橋の花火大会。最後に行ったのは2004年だから、もう8年も見に行っていない。花火大会の時間は毎年作曲タイムになっている(花火大会があろうがなかろうが、いつだって作曲タイムであることに変わりはない)。

 夕食はモリアキ翁93歳とふたり。

 モリアキ翁は体調が良いと言った。

「このぶんだと、僕は100歳まで生きるんじゃないかと思うよ」

 素晴らしい言葉だ。本当にどこも不調を感じていないのだろう。キッチンに立つのも楽しくなるではないか。しかし、主治医の言うように油断は禁物だ(年ごとに老いが加速していることは家族には分かる)。特に感染症は警戒しなければ。

 

 作曲はインスピレーションで行なう。全ての音楽的トレーニングはインスピレーションを得るためだけに存在する。雑学は一切役に立たない。全く同じ知識でも、正しいトレーニングを積んでいない人には雑学にしかならないことがある。

 メロディーが先か、和声が先かという質問は少なくないが、どちらかが独立してやってくることはあり得ない。絵を描く時に、形が見えてから色が見えてきたりするだろうか。和音をたくさん知っていることと、それを思い通りに連結することは全く異なることだ。一度も聴いたことがない和音を鳴らすことなど珍しくもなんともない。極論するならば、和音などひとつも知らなかったとしても正しい選択ができるように訓練すべきだろう。むしろ、知っている和声が新しい世界を見えにくくしている可能性がある。

 

 今日は1976年に書いた「ペップという鳥」という曲の改訂を行なった。当時の未熟さが分かるような作業だった。ただし、アイディアそのものは経験を積んだから良いものが生まれるとは限らない。

「ペップという鳥」はパウル・クレーの絵画のタイトル。クレーらしいとても不思議な絵。

 

>今日のアップロード

4α_ペップという鳥

 

>今日の気持玉

ソナチネ第10番第3楽章途中まで <ナイス>3