野村茎一作曲工房日記2

作曲家の野村茎一が日々の出来事を綴ります

7月23日(月)

270277

 

 NHK「スタジオパークから〜」に作曲家の川井憲次さんが出演していたので、興味深くお話を拝聴する。現在、朝の連ドラの音楽を担当している。

 押井守監督の「アヴァロン」や「攻殻機動隊」の音楽で度肝を抜かれて以来、あまりに多くの作品に触れるので、いったいどういうことなのだろうかと疑問に思っていた(思い続けていた)。

 吉松隆さんがブログに書いているように、クラシック系交響曲作曲家と、劇伴作曲家は全く異なる仕事だということが分かった。つまり、何か新しい音楽を創造しようとしてしまうクラシック系作曲家が劇伴を書いても空回りしてしまう可能性があるが、川井憲次さんのようなプロフェッショナルな才能は、何よりもまず、その場面に最適な音楽を提供しようと動く。そして、まさにそのとおりになる。

 それにしても、彼は天才的だ。

 攻殻機動隊の音楽をリンクするので、知らない人はまず聴いて欲しい。

 

Kenji Kawai - Cinema Symphony - Ghost In The Shell OST

 

 コーラスに日本民謡の歌い手たちを起用するだけでも素晴らしい発想だと思うのに、和太鼓もオーケストラも存分に力を発揮できるスコアに仕上がっている。

 そして夕方、今日は夕食の支度になぜだか手間取っていた。ジャガイモの皮むきに時間がかかってしまったのが敗因か? まあ、そんな時、おちゃめさんから「今夜のクローズアップ現代吉田秀和さん」というメールが。

 実にありがたい情報だ。早速録画機に予約を入れようとしたら、すでに予約になっていた。せっかく知らせてくれたのにそれでは申し訳ないと思ったので、録画可能なありったけのHDDに録画予約を入れた。バックアップのバックアップのバックアップまで取ったから失敗の可能性は非常に低くなった(意味あるのか?)。というわけで、夜になってから同じ内容なのに全ての録画を観た。複数回みると、よく分かる。

 グレン・グールドを早くから評価したエピソードやホロヴィッツを「ひびの入った骨董」と評論したことはよく知られているが、「自分の考えはそこにあるか」という問いかけは重要だ。それはそのまま自分自身の存在理由のようなものだ。

 吉田秀和全集は、まだ全巻読破していないのだけれど、また図書館通いをして吉田秀和マラソン42.195kmを完走しようと思う。

 

 そうだ、今日はスタンフォード大学のクランボルツ教授の「偶発的計画性理論」を説いた「その幸運は偶然ではないんです!」(原題:Luck is No Accident)が届いたのだった。まだ最初のところしか読んでいないけれど、もう勝者になったような気分だ。幸運は準備あるところにやってくる。

 それからもうひとつ。ツイッターでフォローしている岡田斗司夫さんの言葉。

 子どもに「好きな仕事をしなさい、応援しているから」と言ってはいけない。

 おお、なんと含蓄のある言葉だ。

 やりたいと思った仕事は、みんながやりたい可能性が高いから実現しない可能性が高いという警句だ。

 ベートーヴェンも異なった言い回しでそう言っている。

「力のある者は、ない者に代わってその力を役立てよ」(例によってちょっとウロ覚え)

 そのとおりだ。やりたいからと言ってできるわけではない。できると思った人(力のある人)ならできるかも知れない。

 しかし、志と覚悟は人を変え、動かす。志と覚悟があるならやるべきだ。たとえ実現しなかったとしても、本気で動いたのならば、その過程で得たものだけで一生やっていけるだろう。

 

>今日の気持玉

・1α_13_たこたこあがれ <驚いた>1

・1α-42_朝の散歩 <面白い>1

・3α-84_知らない森で <ナイス>1

・3α-113_揺れるコスモス <かわいい>1

・3α-118_ミクロコスモス風に <驚いた>1

・4β_プレリュード'85 <ナイス>1

・4β_インテルメッツォ <ナイス>4

 

 今日はインテルメッツォを沢山弾いたのに、昨夜初めて弾いた演奏に届かない。録音しておいて良かった〜。

 

 では、ひと風呂浴びて、それから本を読みながら寝ることに。